日曜日 - 12 月 18, 2005

自殺を減らしたい ★★☆


自殺を減らしたい ~救命救急センター・精神科医の模索~
NHK総合 NHKスペシャル
★★☆
岩手医大病院で、鬱病に対するケアを本格的に始めた医師を追うドキュメント。
鬱病で自殺未遂した人々を追い、それに対処する医師にスポットを当ててはいるが、もう少し突っ込みがほしいところだ。
鬱病患者に真摯に対応しているこの医師には頭が下がるが、彼を追うだけではドキュメンタリーとしてどうかなと思う。
現代日本では、鬱病の問題は大変重大である(自殺者が年間3万4千人、そのうちの80%が鬱病)。インパクトのあるドキュメンタリーが欲しいところだ。

投稿時刻: 10:46 午前    

土曜日 - 12 月 17, 2005

欺かれた"安全性" ★★☆


欺かれた"安全性" ~耐震強度偽装マンション~
NHK総合 NHKスペシャル
★★☆
現在日本中を揺るがしている耐震強度偽装マンション問題のドキュメンタリー。
ほとんどがニュースで報道されている事実の後追いではあるが、関係者(木村建設の東京支店長、姉歯氏など)に独占インタビューしていて意欲的ではあった。

投稿時刻: 10:49 午前    

水曜日 - 11 月 23, 2005

ブルーノート物語 ★★☆


ブルーノート物語
(1999年・東芝EMI)
★★☆
ジャズ専門レーベル、ブルーノートを創設した、アルフレッド・ライオンとフランク・ウルフの周辺、そしてジャズ・ミュージシャンとの交流を描いたドキュメンタリー。
コルトレーンやモンクなどの珍しい映像も出てくるが、もう一つ。ライオンとウルフが(ジャズについて)目利きであることはよくわかったが……まあ、それはブルーノートのアルバムを何枚か聴けばわかることでね……。

投稿時刻: 06:44 午後    

日曜日 - 11 月 13, 2005

アブグレイブで何が起きていたのか ★★☆


アブグレイブで何が起きていたのか
(2005年・NHK)
NHK BS1 BSドキュメンタリー
★★☆
イラクのアブグレイブ捕虜収容所で露見した捕虜虐待事件の真相を追うドキュメンタリー。
現在、下級兵士十数名が捕虜虐待の罪を告発されているが、実は軍当局の命令で行われたことで組織ぐるみであったことを告発する。
だが、すでに何度も語られたことで、目新しさはほとんどなかった。

投稿時刻: 08:31 午前    

日曜日 - 9 月 25, 2005

ひとり団地の一室で ★★★


ひとり団地の一室で
NHK総合 NHKスペシャル
★★★
首都圏のベッドタウンである、千葉県松戸市の集合住宅。かつて(昭和30〜40年代)は庶民あこがれの的だったこの団地も、現在では、1人暮らしの老人が多数入居しており、誰にも知られずに死んでいる(つまり孤独死)ことが頻発している。今年の6月には孤独死した人が3人出たそうだ(全部で1500世帯)。
このドキュメントでは、弱者切り捨てのアメリカ型社会が何を生み出すか、如実に描かれている。しかも日本は今後高齢化社会に移行していくのだ。弱者が多数派になるとどうなるか見当もつかない(それでもアメリカ型社会を追いかけるのか)が、この集合住宅は少なくとも日本の将来を先取りしている。今、勝ち組などといって悦に入っている人も、いずれはこういう最期を迎える可能性だってある(むしろ可能性は高いと思う)。明日は我が身だ。

投稿時刻: 05:57 午後    

土曜日 - 6 月 11, 2005

トラック・列島3万キロ 時間を追う男達 ★★★★


トラック・列島3万キロ 時間を追う男達
NHK総合 NHKスペシャル
★★★★
さまざまな産業の合理化・経費削減のしわ寄せを受けている物流業界の現状をレポートするドキュメンタリー。
数ヶ月に渡り、あるトラック運転手の助手席に同乗して、問題を体感する。
製造業の合理化策としてジャストインタイム方式という方法が取り入れられている。在庫を一切持たずに必要な量だけ材料を工場に搬入することで、在庫管理に関わるあらゆる経費を節約できるというものである。確かにそのメーカーにとっては節約だが、結局どこかに無理をしなければやっていけないのが「合理化」策であり、その無理が物流業界に押しつけられることになる。
このドキュメンタリーで紹介されていた例では、千葉の部品工場で夕方搬出された部品を、大阪の工場で朝9:00に到着するように輸送しなければならないというものであった。ここで定められた時間はほとんど余裕がなく、渋滞に巻き込まれたら即アウトという、まさにギリギリの状態である。万一、遅れたら違約金や取引停止などということになる。ドライバーには大変なストレスがかかる(信号待ちの短い時間眠るなどということも……)。
しかも、物流業の自由化による過当競争のために、料金の低価格化が進んでいるという。物流業界が破綻を来すのも遠くないのではないか。
昨今、トラックによる事故が増えているが、一般的には、それを物流企業や運転手のせいにしてしまいがちだ。本当の問題点がどこにあるかしっかりと見据えたドキュメンタリーだ。
放送文化基金番組賞受賞作品。

投稿時刻: 08:33 午前    

土曜日 - 6 月 04, 2005

キックオフ ワールドカップにかける夢 ★★★


キックオフ ワールドカップにかける夢
NHK教育 ETV特集
★★★
2月のサッカーワールドカップ最終予選、日本対北朝鮮の試合について、関係者へのインタビューを通じて振り返るドキュメンタリー。
北朝鮮代表の現役Jリーガー(アンヨンハッら)の代理人を務める在日朝鮮人三世、映画『パッチギ』のプロデューサー、日本サッカー協会会長らが、北朝鮮代表や日本対北朝鮮戦などへの思いを語る。
当時(今もそうだが)日朝関係が非常に悪かったため、関係者は、日本人サポーターによる北朝鮮代表選手に対するバッシングを大変気にしていたが、いざ試合の日を迎えてみると日本のサポーターたちは非常に友好的に北朝鮮代表チームを迎えたのだった(考えてみればかれらは、先のワールドカップで日韓関係の改善にも貢献している)。敵愾心をあおる日本政府やそれに同調する保守層よりもはるかに開明的でインターナショナルだ。北朝鮮代表を取り巻く人々もホッと胸をなで下ろしたということだ。
日本サッカー協会会長の川淵三郎氏は最後に、サッカーというのはナショナリズムの面とインターナショナリズムの面の両方を併せ持つ。試合中はナショナリズムが前面に出されるが、試合が終わると不思議にインターナショナリズムの面だけが残る。それがサッカーの良いところ……というようなことを語っていた。

投稿時刻: 08:37 午前    

水曜日 - 6 月 01, 2005

さようなら大関貴ノ花 ★★★


さようなら大関貴ノ花
NHK総合 NHK特集
★★★
初代貴ノ花が現役を引退したときに作られたドキュメンタリー。
先日の死去を受けて、追悼のために再放送された。番組自体は、貴ノ花の過去の取り組みを集めた総集編という趣でどうってことないが、今回の再放送のタイミングが非常に良かった。貴ノ花の現役時代が凝縮されているような内容で、故人をしのぶことができる。みんな貴ノ花が好きだった---ということを改めて思い出した。
ご冥福をお祈りしたい。合掌。

投稿時刻: 08:16 午前    

土曜日 - 5 月 21, 2005

タクシードライバーの長い夜 ★★★☆


タクシードライバーの長い夜
NHK教育 ETV特集
★★★☆
タクシー業界の過当競争・価格破壊のために、生活が踏みにじられているタクシー運転手にスポットを当てるドキュメンタリー。
タクシー運転手という職業は、長時間労働で、しかも神経をすり減らす上犯罪にもさらされやすいという条件の悪い職場でありながら、近年その平均年収は300万円台まで落ちてきているという。
ことの起こりは、政府の「規制緩和」政策である。これまで台数や価格に制限がかけられていたものが、「規制緩和」政策によって、さまざまな制限が撤廃されている。あげくに過当競争・価格破壊が起こり、運転手の収入減という結果を招くことになった。
このドキュメンタリーで、「規制緩和」の担当者はインタビューに答え、「消費者が望む状態を実現することこそ正しい」と言っていた。しかし、今の状態が本当に正しいと言えるんだろうか。
公共交通機関を自由競争にさらしたらどうなるか、今までのいろいろな事例を見たら容易に想像つく。(公共性がたとえ高くても)赤字の原因となっている部分は廃止されるし、乗客の生命もないがしろにされるようになる。それが資本主義の原則というものだ。尼崎の事故を持ち出すまでもない。
タクシーの運転手たちは現在かなり追い込まれている状態で、いずれ事故の多発化などという形で影響が出るに違いない。あるいはその前に、運転手の生活の方が破綻するかも知れない。
タクシー業界を通して公共交通のあり方を問いかける、優れたドキュメンタリーだった。こういうのを是非NHK総合の「NHKスペシャル」でやってほしいんだが(総合テレビの方が人の目に触れやすいからね。ちなみにこの日のNHKスペシャルは「明治(4) 建白書にみる国づくりの夢とアイデア」。なんじゃこりゃ)。

投稿時刻: 10:19 午後    

水曜日 - 5 月 11, 2005

ソマリア難民 アフリカへ大量移住 ★★☆


ソマリア難民 アフリカへ大量移住
(2004年・仏 ELEPHANT & Cie)
NHK BS1 BS世界のドキュメンタリー
★★☆
ソマリア内戦で故郷を追われケニアの難民キャンプでひどい暮らしを強いられている(という)ソマリア難民。
そのソマリア難民のうち1万5千人を米国が引き受けることになった。アメリカへは、数百人単位で随時移動し、それぞれ3ヶ月間は米政府から経済的な援助があるらしい。ってことは、4カ月目からは自活しなければならないということ。英語も話せないソマリア人がいきなりアメリカで生活できるのか。援助が終わったら路頭に迷うのではないだろうか。そんな心配をしながら見た。
番組では、ある家族にスポットを当てて、ケニアからアメリカに至り、アメリカで新生活を始めるまでを追っている。
アメリカに行く前に、難民キャンプで5日間の研修があり、アメリカの習慣や簡単な挨拶を勉強する。容易に想像がつくが、いい加減なものだ。こんなので弱肉強食のアメリカ社会を生きていけるのか?! 「アメリカなんかやめといた方がいいのに……」などと思いながら見る。
やがて、アメリカへ出発。飛行機でカイロ、ニューヨークを経由し、ソルトレークシティに到着。
いよいよそこで新生活を送る。当地にはすでに息子たち数人が数カ月前から滞在していたので、気は楽だ。
しかし、やがて大変な苦難が待っていた……なんてことになるかと思ったら、番組はそこで終わってしまった。最後のナレーションによると、父、母、息子、それぞれが仕事に就けて(!)、中学生の娘も中学校に元気に通い始めたということだ。でも英語ができない難民がそんなに簡単に仕事に就けるのだろうか。はなはだ疑問だ。
結局、おのぼりさんの大都市移住記みたいになって、ドキュメンタリー番組としてはちっとも面白くなかった。もっとも、登場する難民の人々にとっては良かったのだが。でも本当にこれがアメリカの現実なのだろうか。

投稿時刻: 10:33 午後    

日曜日 - 5 月 08, 2005

少年院 教官と少年たちとの現場 ★★★


少年院 教官と少年たちとの現場
NHK総合 NHKスペシャル
★★★
少年院からの内部レポート。
教官と院生(?)とのやりとりを中心に構成しており、「教育」という視点で両者の関係を描く。
なかなか面白かったが、題材が「少年院」ってのもどうなんだか。民放でさんざん取り上げられている題材だもんねえ。確かに視点は違っていたが……。
NHKのスタッフにはもっときばってほしいものだ。

投稿時刻: 09:46 午後    

木曜日 - 5 月 05, 2005

ベトナム戦争 〜サイゴン陥落・最後の58日間〜 前・後編 ★★★


ベトナム戦争 〜サイゴン陥落・最後の58日間〜 前・後編
(2005年・NHK)
NHK BS1 「戦後60年 歴史を変えた戦場」
★★★
パリ和平協定以後、北ベトナム軍が南ベトナムのサイゴンを陥れるまでの経過を描いたドキュメンタリー。
パリ協定で米軍が撤退した後の出来事であるため、どんなに詳細に説明があったとしても、あまりインパクトはない。
ベトナム戦争をベトナム人民軍と米軍の戦いととらえる(普通はこういうとらえ方だが)と、米軍が撤退するまでのプロセスの方が重要な気がする。確かに、北ベトナム軍と南ベトナム軍の戦いではあるが、この58日間はむしろ戦後処理というか総仕上げという印象であり、こうやってスポットを当てるほどベトナム戦争全体の中で大きな意味があるとは思えなかった。
ドキュメンタリーとしても、あまり緊迫感がなく少し退屈だった。

投稿時刻: 09:28 午前    

月曜日 - 4 月 25, 2005

ブラジル女性警察 〜家庭内暴力との闘い〜 ★★★☆


ブラジル女性警察 〜家庭内暴力との闘い〜
(2005年・NHK)
NHK BS1 BSドキュメンタリー
★★★☆
ブラジルに女性専科の警察署があるらしい。数年前に開設され、現在では全土で400署を数えるという。この女性警察が扱うのは、夫や恋人からの暴力が中心で、通常であれば夫婦喧嘩で片づけられるようなものに対しても積極的に取り組んでいる。
この女性警察が、訴えに対してどのように対処し、どのように解決するかが全編に渡って紹介されている。また、訴えられた男性からの暴力の報復に対する対処方法や、男性側の暴力をやめさせるための取り組みなどもあわせて紹介される。たとえば、刑の1つとしてセミナーへの参加を義務づけ、そのセミナーで、加害者にその過去(子供時代に親から受けた暴力など)と向き合わせる方法が成功例として紹介されていた。
ブラジルのこの画期的な取り組みは、これまであまり日本で紹介されることはなかったが、このような形でしかも詳細に放送されたことはきわめて意義深い。こちらも画期的である。
ドキュメンタリーの構成も落ち着いた印象があり、非常に質が高い。

投稿時刻: 07:34 午前    

日曜日 - 4 月 24, 2005

万年時計の謎に挑む 江戸時代の天才VS現代の技術者 ★★☆


万年時計の謎に挑む 江戸時代の天才VS現代の技術者
NHK総合 NHKスペシャル
★★☆
幕末に田中久重が作った万年時計を現代に再現するため、現代の技術者がそのからくりを調べ再生する過程を追うドキュメント。
万年時計のメカニズムにはビックリだが、ドキュメンタリーとしては突っ込みが浅い。『ロボットコンテスト』のメカニズム解説みたいな構成で終始していた。

投稿時刻: 07:21 午前    

日曜日 - 4 月 10, 2005

大惨劇の三日間 〜ロシア学校占拠テロ〜 ★★★☆


大惨劇の三日間 〜ロシア学校占拠テロ〜
(2005年・NHK)
NHK BS1 BSドキュメンタリー
★★★☆
2004年9月1日にロシア連邦北オセチア共和国で発生した小学校占拠事件の経緯を紹介するドキュメンタリー。
緊迫した状況を関係者のインタビューで綴る。

投稿時刻: 10:35 午後    

土曜日 - 4 月 09, 2005

地球温暖化 最終回・子供たちに残す解決策 ★★


地球温暖化
最終回 子供たちに残す解決策(2003年・カナダ ストーンヘイヴンプロダクション)
NHK BS1 BS世界のドキュメンタリー
★★
地球温暖化の現状を報告するシリーズ、『地球温暖化』の最終回。地球温暖化に対するテクノロジーによるさまざまな解決策を紹介する。
テクノロジーで環境破壊が解決できるという考えがいかにも浅はか。テクノロジーを使えば、新たな問題が発生するのは必至。これまでさんざん繰り返してきたことだ。
自動車からはき出される排ガスや二酸化炭素を減らすために、燃料電池などの別のエネルギーを使った新しい自動車を開発するということが本当に環境のために良いのか、製作者に問いたいところだ。極力自動車に乗らないような生活を送るというのが抜本的な対策だと思うが。

投稿時刻: 09:56 午前    

水曜日 - 3 月 23, 2005

政権交代への72時間 〜スペイン列車爆破テロの衝撃 ★★★


政権交代への72時間 〜スペイン列車爆破テロの衝撃
(2005年・西 ドライブテレビジョン)
NHK BS1 BS世界のドキュメンタリー
★★★
2004年3月11日にスペインで発生した列車爆破テロと、それに伴う政権交代の顛末。
政権交代のきっかけになったのは、事故自体が原因というよりも、与党国民党のアスナール首相の対応のまずさにあったということらしい。
政府当局は当初から、反政府組織ETAの犯行と断定しており、ジャーナリストや報道機関にもそのことを通告していた。与党は、イスラム寄りの政策をとっていたため、イスラム・テロ組織の犯行とすることに躊躇したようだ。特に、選挙直前ということもあり、政策上の失策が明るみに出ることを選挙後まで伸ばしたかったのだ。イスラム・テロ組織の犯行であれば、(国民の反対が多かった)イラク派兵政策もやり玉に挙げられることになる。一方、ETAについてはこれまで政府当局も弾圧を繰り返していたため、ETAの犯行であれば、政策の正しさ(ETA=悪者という構図)を証明できることになるというわけだ。
このように政府は、当初から(自分たちの利害のために)一種の情報統制を敷こうとしていたため、これが明るみに出ると野党と国民の猛反発を買うことになる。そして、このことが明らかになったのが、選挙の直前だったのだ。かくして、与党は選挙で敗北し、政権交代を招くことになったというわけだ。
やはりこちら(日本)で伝えられていることと現地のレポートとでは温度差がある。

投稿時刻: 09:01 午前    

火曜日 - 3 月 22, 2005

肥満が発展途上国を襲う ★★☆


肥満が発展途上国を襲う
(2004年・仏 CAPA)
NHK BS1 BS世界のドキュメンタリー
★★☆
中国、メキシコ、エジプトをはじめとする全世界(特に発展途上国)で肥満が蔓延していることを報告する。
あくまでも報告のレベルであり、あまり目新しさはない。

投稿時刻: 08:54 午前    

木曜日 - 3 月 17, 2005

あなたの知らない卵の話 ★★☆


あなたの知らない卵の話
NHK総合 NHKスペシャル
★★☆
卵にまつわるさまざまな事例を紹介する。親鳥の飼料に特殊な物質を混ぜることで卵に特定の栄養素を移行させようと努力(つまり付加価値をつけて高く売ろうと)する日本企業、種鶏(親鳥)を管理し、白身の厚さや殻の固さ、色などを一定の規格で統一する米国企業、日本市場にねらいを定め売り込みをかける中国企業(また中国だ)などが出てくる。
卵が工業製品化し、食がいびつに歪められている状況を糾弾するような材料が集められているのだが、そういう主張はあまり全面に出されていない。要するに歯切れが悪い。腰が引けているというか。「トリビアの泉」の司会をやっている高橋克実をナレーションに使っているが、これなども、問題性をあぶり出すというスタイルではないことを物語っているようだ。
紹介している内容には目新しさがあるが、主張を前面に出しておらず(あるいは出せない?)全体に冗長で退屈。そんなわけで他の用事を片づけながら見ていた。

投稿時刻: 11:22 午後    

月曜日 - 3 月 14, 2005

アインシュタインの妻 ★☆


アインシュタインの妻
(2003年・豪 メルサ・フィルムズ)
NHK BS1 BS世界のドキュメンタリー
★☆
アインシュタインの相対性理論には興味があるが、アインシュタインの妻には興味がない。
アインシュタインの初期の研究をかなりの程度手伝った(ハイデルベルグ大学で物理学を専攻していたらしい)が、その後、アインシュタインと離婚して、悲劇的な晩年を迎えたということだ。ふーん、そう、という感じ。「知ってるつもり」や「波瀾万丈」が好きな人には良いかも。

投稿時刻: 10:01 午後    

日曜日 - 3 月 13, 2005

ロキ野戦病院 〜スーダン難民を救え〜 ★★★


ロキ野戦病院 〜スーダン難民を救え〜
(2005年・日加 NHK、NFB)
NHK BS1 BSドキュメンタリー
★★★
83年以来内戦状態が続くスーダンでは、戦闘やインフラの破壊により多くの人が生命の危険にさらされている。
赤十字国際委員会は、ケニアとの国境付近に野戦病院を設け、スーダンで重傷や重病になった人々に治療を施している。このドキュメンタリーは、そのロキ野戦病院での日常が淡々と描かれている。槍でさされて担ぎ込まれる男や、治療の甲斐もなく命を落とす新生児と妊婦(妊娠中毒症だと思うが)など、『ER』さながらの光景が展開される。
ナレーションはまったくなく、説明はすべて字幕で行われる。病院内の雰囲気がよく画面に現れていて、なかなか優れたドキュメンタリーではあるが、ややインパクトに欠ける点が残念。

投稿時刻: 09:50 午後    

金曜日 - 3 月 11, 2005

終わらないアスベスト問題 〜増加するがん患者〜 ★★☆


終わらないアスベスト問題 〜増加するがん患者〜
(2005年・仏加 ポワンディジュール、ラジオカナダ)
NHK BS1 BS世界のドキュメンタリー
★★☆
多くの国で禁止されているアスベスト(アスベストは強力な発ガン性物質)が、いまだにカナダやブラジルなどで生産され、多くの途上国で輸入され使われていることを報告するドキュメンタリー。
かつてアスベスト生産高世界一を誇っていたカナダでは、アスベスト採掘企業の力が強く、なかなか生産規制が進まなかった。ここに来て、周りの圧力により生産高が抑えられることになったが、カナダの関係企業は、今度はブラジル(こちらもアスベストの産出が多い)でその事業を継続するようになった。
労働者は、非常に危険なアスベスト採掘に関わることになるが、企業側はその事実を覆い隠そうとする。新たな被害者を生み出す企業と、それを放任する行政。企業と行政は持ちつ持たれつの関係を続けていく。そこには、世界中のさまざまな環境問題の縮図がある。

投稿時刻: 09:49 午前    

水曜日 - 3 月 09, 2005

マーケティングがアメリカを動かす ★★


マーケティングがアメリカを動かす
(2004年・米 WGBH)
NHK BS1 BS世界のドキュメンタリー
★★
アメリカの市場で広告が大きな役割を果たすということを紹介するドキュメンタリー。
紹介される内容が雑多でとりとめがない上、目新しさもない。

投稿時刻: 09:17 午前    

火曜日 - 3 月 08, 2005

アメリカ カード社会の落とし穴 〜利子に苦しむ消費者たち〜 ★★★☆


アメリカ カード社会の落とし穴 〜利子に苦しむ消費者たち〜
(2004年・米 WGBH)
NHK BS1 BS世界のドキュメンタリー
★★★☆
WGBHのドキュメンタリーは、リズムが良くテンポも小気味良いんだが、経済事情に少し疎い私はなかなかついていくことができなかった。
ともかく、アメリカの(日本でもそうだと思うが)クレジット・カード会社がやり放題のことをやっているということらしい。ユニバーサル・デフォルト(他社の債務返済が滞った場合、返済中の債務について、カード会社が勝手に利子を上げることができる!)なんぞという信じられないような条項が契約書に書かれている(実際に行使されている)ということは初めて知った。また、万一支払いが遅れると、利子を一方的に上げられ手数料を一方的に課せられるなどということもあるらしい。そこまでやるか! えげつないぞ、カード会社! 他にも、リボルビング払いの場合、返済期間が(おそらく意図的に)示されていないなどの問題点も指摘されていた。
結論。カード会社に身ぐるみ剥がされないように気をつけないといけない。
私? 私は借金嫌いなので、たとえカードを使ってもすべて一括払いです(それにネット上での支払い以外はまったく使わない)。番組の中でも言っていたが、カード会社にとってはこういうのが一番迷惑な客らしい(利子収入が入らないから)。

投稿時刻: 11:20 午後    

月曜日 - 3 月 07, 2005

アメリカの激安商法 〜巨大スーパーは何をもたらすか〜 ★★★☆


アメリカの激安商法 〜巨大スーパーは何をもたらすか〜
(2004年・米 WGBH)
NHK BS1 BS世界のドキュメンタリー
★★★☆
アメリカの激安スーパー、ウォルマートがアメリカの社会にもたらした災厄について報告するドキュメンタリー。
ウォルマートは、多様な商品を低価格で販売するという戦略で90年代急成長したが、一方で製造業界に超低価格を強いることによってさまざまなメーカーを破壊してきた。「店に置いてやるからこちらで設定する価格にしろ、従わなければ店から排除する」というやり方らしい。結局、この無理難題ともいえる価格を受け入れなかった企業は、巨大スーパーチェーン、ウォルマートから排除され、売り上げが大幅にダウンするということになる(そのせいで買収された企業、工場を閉鎖した企業もある。しかも買収された企業というのは高品質の商品を作ることで高い評価を得ていた企業だ)。
当然のことながら、ウォルマートは中国製品に目を向けることになる。そして、超低価格の中国製品がウォルマートに入ることで、米国産の製品がますます駆逐されていくのだ。こうして、価格だけでなく米国内の産業も破壊され、ひいては市民の職も奪われることになる。これは日本の「価格破壊」の状況ともよく似ている。
このドキュメンタリーでは、米国産業に対してウォルマートがどのような(否定的な)役割を果たしたか紹介しており、その主張は明快。米CBSの「60 minutes」を彷彿とさせるようなリズミカルな演出も心地良い。なかなかの佳作である。

投稿時刻: 11:30 午後    

月曜日 - 3 月 07, 2005

奈良・お水取り ★★★☆


奈良・お水取り
NHK総合 NHK特集(1987年)
NHKアーカイブス
★★★☆
今年で1254回目を迎える春の風物詩、東大寺の「お水取り」を追ったドキュメンタリー。
東大寺の「お水取り」といえば、一般的には二月堂で大松明をかざす火祭りだと思われているが、実はあの大松明の行事(篭松明上堂)はごく一部に過ぎない(昨年奈良に行ったときに、喫茶店のマスターが話していたのをそばで聞いて初めて知った)。二月堂の秘仏である十一面観音に清水をお供えする若水取りの行のことを本来「お水取り」といっていたが、いつの間にやらその前後に付随する数週間の行が「お水取り」と呼ばれるようになったらしい。「国家の安泰と万民の幸せを十一面観音に祈る法要」というのが、現在の本来の「お水取り」の定義だそうだ。
このドキュメンタリーでは、試みの湯(風呂に入って行を行う意志があることを確認する儀式:このドキュメンタリーでは2月21日)から、若水取り、達陀の行法(だったんのぎょうほう:火天と水天の舞い:このドキュメンタリーでは3月14日)に至るまで丹念に紹介している。
この行事については、風呂に入ったり堂内を走り回ったりして俗っぽい印象を受ける。また、なかなかドラマチックで、一種の火祭りという感じもする。この行に参加する練行衆(11人の僧)も、修行というよりも楽しみでやっているような雰囲気がある。この番組でも、僧たちの素顔が出てくるが、何となく嬉々としている。
紹介される映像は、火と闇のコントラストを強調しており、なかなか美しい。行の映像の間に挿入される東大寺周辺の風景も季節感を感じさせる。素材は地味だが、中身は密度が濃く、「お水取り」の記録としての価値もある。まさに保存版という名に値するすぐれたドキュメンタリーだ。NHKソフトウェアから出ている『NHK特集名作100選』にも入っている作品だ(図書館などにあるかもね)。
考えてみると、この頃のNHK特集は水準が高かったよなあ。
NHKアーカイブス「奈良・お水取り」リンク

投稿時刻: 01:55 午後    

日曜日 - 3 月 06, 2005

アフリカを緑の大地に ノーベル平和賞 マータイさんに聞く ★★☆


アフリカを緑の大地に ノーベル平和賞 マータイさんに聞く
NHK BS1 BS特集
★★☆
先頃ノーベル平和賞を受賞した、ケニアの環境保護運動家、ワンガリ・マータイさんへのインタビュー。
一番知りたかったのは、彼女が推進しているグリーンベルト運動の成果(砂漠の植林運動は、そのほとんどが成功していないといわれている)なのだが、まったく触れられていなかった。残念!

投稿時刻: 10:28 午後    

土曜日 - 3 月 05, 2005

13億人の欲望をつかめ 〜中国コンビニ戦争〜 ★★★☆


13億人の欲望をつかめ 〜中国コンビニ戦争〜
NHK総合 NHKスペシャル
★★★☆
中国・上海には、近年外資系のコンビニが多数進出し、競争が熾烈になっている。その内の中国系のコンビニ「好徳」、日系コンビニ「ファミリーマート」、「ローソン」を取り上げ、上海の小売業の現状を報告する。
中国の小売業を扱うなどというのもずいぶん問題意識が低いな(テレビ東京の経済ニュースみたいだ)と思っていたが、番組自体はスピード感があってかなり楽しめた。まさに猛スピードで成長を遂げる中国を象徴している。
最近のNHKでは、中国の変化を扱ったこの手の番組がやたら多くなっている。中国社会が今非常にエネルギッシュだから、絵になるんだろう(確かにどのドキュメンタリー番組を見ても、エネルギーが画面からあふれるような印象を受ける)。しかし一方で、いわゆる「先進国」の愚かな面や醜い面ばかりが中国に導入されているという印象も受ける。今回のコンビニもそうだ。よりによってコンビニとは……。
NHKのドキュメンタリーの作成者は、中国のエネルギーにほだされてこの手の番組をよく作っているのだろうが、中国のこのような姿勢を後追いするような安易なアプローチはとってほしくないものだ。問題性を追求することがドキュメンタリーの本分なのだ。

投稿時刻: 12:01 午前    

木曜日 - 3 月 03, 2005

中国 幼稚園の子どもたち ★★★


中国 幼稚園の子どもたち
(2003年・中 湖北テレビ)
NHK BS1 BS世界のドキュメンタリー
2003年広州国際ドキュメンタリーフェスティバル・グランプリ受賞作
★★★
中国の幼稚園は、月曜日から金曜日までの寄宿制だそうだ。4歳児で、慣らし保育もなく、いきなり親と離れて集団生活を余儀なくされる。子どもにとっては相当なストレスになるんじゃないかという気がする。
このドキュメンタリーでは、幼稚園の子どもたちのスナップショットを積み重ね、子どもたちの世界を描いている。
確かに、子ども(特に今回のようなある程度ストレスのかかる環境の子ども)に焦点を当ててその生活を追いかけるドキュメンタリーというのは面白いものだが(『はじめてのおつかい』にしてもそう)、問題意識や切れ味という点で物足りない。
この3日間、NHK BSでは、さまざまな賞の受賞作(『密着ルポ パキスタンの臓器売買』、『ベトナムで戦死した父を追って』)を放送してきたが、残念ながら、期待したほどのものはなかった。受賞作というのは概してそういう(毒にも薬にもならない)ものだということをあらためて感じた。

投稿時刻: 10:40 午後    

水曜日 - 3 月 02, 2005

ベトナムで戦死した父を追って ★★★


ベトナムで戦死した父を追って
(2003年・米 オーファンズオブウォー・プロダクション)
NHK BS1 BS世界のドキュメンタリー
2003年エミー賞ドキュメンタリー部門受賞作
★★★
自分が生後4カ月のときにベトナム戦争で死んだ父の実像を、ドキュメンタリー作家が追うドキュメンタリー。
父の生前の姿について、戦友たち、同級生たち、親戚家族に尋ね回り、その素顔に迫る。未亡人である母と一緒に行動するのであるが、その母は終始泣きじゃくっていた。かなり湿っぽい作品。
余談だが、戦友の中に、前回の大統領選挙で民主党から出たケリーもいて、故人の話を詳細にし、未亡人である母を励ましていた。とてもいい人だ。

投稿時刻: 10:07 午前    

火曜日 - 3 月 01, 2005

密着ルポ パキスタンの臓器売買 ★★★☆


密着ルポ パキスタンの臓器売買
(2004年・デンマーク DR)
NHK BS1 BS世界のドキュメンタリー
2004年モンテカルロ国際テレビ祭ゴールドニンフ賞受賞作
★★★☆
パキスタンで腎臓移植手術を受ける、デンマークの腎臓病患者に密着取材し、臓器を提供する側(売る方)と臓器を提供される側(買う方)の両方を追って、問題の所在を追求するドキュメンタリー。
臓器を提供される側である、先進国の腎臓病患者の側は、週3回人工透析を受け、透析の後は極度に疲労するという。また、先が見えない状態にも絶望しており、なんとかこの境遇を抜け出したいと考えている。
一方、パキスタンでは、多くの国で禁止されている臓器売買が認められているため、貧しさのために腎臓を売る人々が実際にかなり存在する。そして、そんなかれらの弱い立場につけ込んで、仲介手数料をしこたまポケットに入れるブローカー。腎臓を売った人に実際に渡る金額は、臓器被提供者が支払った額の1/10に過ぎない。手術後には、1週間で退院させられ、仕事に復帰することになる。多くの臓器提供者は、その後、熱や疲労のために苦しむことになり、仕事も以前ほどはできなくなるという。
臓器移植を受けた先進国の患者は、手術が成功すれば、以前の状態からは考えられないほど回復していく。このドキュメンタリーに登場した患者も、術後の経過は、予想以上に良好だった。マクロ的に見ると、先進国の患者(買う方)の不健康が、パキスタンの臓器提供者に移っていったということになる。
このドキュメンタリーでは、患者に対して「良心の呵責はないか」などの酷な質問を浴びせているが、苦しい環境にある人がその状態から抜け出したいというのはごく自然であり、それを責めるというのはあまり感心しない。もちろん、金による不健康の譲り渡しと言えるこの状態は肯定できない。
結局のところ、南北問題が解消されない限り、金持ちが貧乏人から収奪するというこのような構造はなくなることはないのだろう。このドキュメンタリーのようなミクロ的な視点では解決策は見いだせないんじゃないだろうか(もちろん、こういう現状を告発することは大事だが)。

投稿時刻: 11:28 午後    

火曜日 - 3 月 01, 2005

インド洋大津波 映像で迫るその全貌 ★★★


インド洋大津波 映像で迫るその全貌
NHK総合 NHKスペシャル
★★★
2004年12月26日に起こったインド洋大津波の映像を集めたもの。
家庭用ビデオが普及しているためか、この津波を撮影したビデオはかなり残されているようで、ニュースでもいろいろな映像が取り上げられた。記憶に新しいところだ。このドキュメンタリーでは、映像を撮影した人々、映像に登場してくる人々(危うく難を逃れた人)にインタビューを敢行し、津波を追体験する。同時に、この災害について分析・シミュレーションし、この大津波の実態を描き出そうとしている。
津波に対する心構えを喚起するという意味で、非常に有意義な試みである。ただ、この番組でも、安易なCG(しかも質が低い)が多用されていて、かなり興が醒める。最近のNHKスペシャルには、やたらこういった稚拙なCG映像が使われているが、いい加減やめたらどうだろう。このCG製作者と何らかの癒着でもあるのか、と勘ぐってしまう。

投稿時刻: 03:56 午後    

土曜日 - 2 月 12, 2005

手錠をかけられた検事 ★★★☆


手錠をかけられた検事(2005年)
日本テレビ NNNドキュメント
★★★☆
検察庁の裏金づくりの実態を匿名で告発していた三井環(当時)検事が、詐欺容疑で逮捕されたのは、実名告発のために記者発表する当日の朝だった。その後保釈も認められず、約1年間拘留された後、釈放され現在に至る(退職金もなく収入もない状態)。
こういう破廉恥なことを法にたずさわる検察が平気でやってしまうのが今の日本だ。今に真実が明らかになるだろうが。
蛇足だが、新聞の番組欄に「悪徳検事……」と書いてあったので、(日テレ唯一の良心)NNNドキュメントもとうとう転んだかと思ったが、どうやら三井氏が講演で自嘲気味に自らを「悪徳検事」(逮捕当時マスコミでこのように呼ばれたらしい)と呼んでいたことから引用したもののようである。どうしてこういうタイトルを番組欄にのせるのかよくわからないが、テレビではこのようなタイトルは一切出なかった(恣意的なものも少し感じるが)。
本日記:『告発! 検察「裏ガネ作り」』の項を参照。

投稿時刻: 08:51 午前    

木曜日 - 2 月 10, 2005

売買されるネパールの少女たち ★★★


売買されるネパールの少女たち
(2004年・西 ニューアトランティス)
NHK BS1 BS世界のドキュメンタリー
★★★
だまされてインドの風俗産業に売られてしまうネパールの少女たちの現状を追ったドキュメンタリー。ネパール社会に深く根付くカースト制のために、いかに女性がひどい目にあっているかもあわせて紹介している(暴力、傷害、殺人など)。
やはりこういう現実があるんだ……と思う。

投稿時刻: 08:33 午前    

日曜日 - 2 月 06, 2005

巨大マネーが東京をねらう 〜オフィスビル投資の舞台裏〜 ★★★


巨大マネーが東京をねらう 〜オフィスビル投資の舞台裏〜
NHK総合 NHKスペシャル
★★★
不良債権化したような東京の不動産を低価格で購入して改装し、テナントを増やすことで利益をあげる米国系不動産ファンドの話。良い条件の資産運用を求める投資家から金を集めて、高額な配当を出すという、ハイリスク・ハイリターン戦略がかれらのやり方だ。見方によれば、新しいビジネス・モデルを日本に持ち込んだとも言える。現に同様の方法で利益を上げるJリートと呼ばれる日本系の不動産ファンドも多数登場している。結果として、近年、東京の不動産価格が異常に上昇しているということだ。
ただ、こうやって不動産価格を実際の価値以上に上昇させていくと、80年代の二の舞になるのは明らかだ。もともと、不動産をファンド化できるようにするという政策は日本政府主導で導入された(それにアメリカの不動産ファンドが食いついてきた)ものだが、まあなんというか、懲りない人たちだ。

投稿時刻: 10:17 午後    

土曜日 - 2 月 05, 2005

フリーター漂流 ★★☆


フリーター漂流
NHK総合 NHKスペシャル
★★☆
企業に良いように利用されているフリーターの現状を紹介する。『クローズアップ現代』でやったものの焼き直し。

投稿時刻: 08:27 午後    

木曜日 - 2 月 03, 2005

水は誰のものか 〜水道民営化を巡る闘い〜 ★★★


水は誰のものか 〜水道民営化を巡る闘い〜
(2004年・米 スニトゥーカウフマンプロダクション)
NHK BS1 BS世界のドキュメンタリー
★★★
水道の民営化の問題についてのドキュメンタリー。
行政は、経費を削減するという名目で水道事業を民間企業に委託する。しかし一方で、水道事業の民営化は、人々の公的財産である水を企業に売り渡すものだという議論もある。
ボリビアのコチャバンバ地方では、(世界銀行の働きかけにより)水道が民営化されたことで結果的に水道料金が大幅に値上げされた。ある意味で貧困層が切り捨てられることになるのだ。
世界中で進められている水道民営化の流れと、それに反対する市民のせめぎ合いを紹介する。ほとんど知らなかった問題で、問題提起という意味で有意義。
明日は我が身だ。

投稿時刻: 11:08 午後    

水曜日 - 2 月 02, 2005

天山蜜に挑む 〜蜂客6000キロの旅〜 ★★★


天山蜜に挑む 〜蜂客6000キロの旅〜
(2004年・NHK)
NHK BSHi ハイビジョン特集
★★★
天山山脈でわずか年に1カ月だけ収穫できる薬草の花の蜜は、輸出のため高値で取引される。この蜂蜜を求めて、中国全土から千を越す養蜂家(蜂客:ほうか)たちが天山山脈に集結してくる。良質の蜜を収穫できれば、一攫千金も夢ではないという。
浙江省から天山山脈に向かう1組の蜂客と行動を共にして作られたドキュメンタリーで、一種のロードムービーといったところ。

投稿時刻: 02:19 午後    

月曜日 - 1 月 31, 2005

カスピ海・地中海 パイプラインをいく 〜石油の中東依存を変えられるか〜 ★★


カスピ海・地中海 パイプラインをいく 〜石油の中東依存を変えられるか〜
(2004年・米 インビジョンプロダクション)
NHK BS1 BS世界のドキュメンタリー
★★
カスピ海沿岸で発見された石油を使い、石油の中東依存を解消しようとする欧米諸国。そのためにパイプラインを地中海まで引こうとしている。そして目下建設中。しかしパイプラインが通過する国々は、政治的に不安定な地域が多い。
このドキュメンタリーでは、パイプラインをたどりながら、その周辺の国々を紹介する。イラク戦争やアフガン戦争とも関連する問題だけに期待したが、途中で眠ってしまった。

投稿時刻: 02:24 午後    

火曜日 - 1 月 25, 2005

検証 米メディアのイラク戦争報道 ★★★☆


検証 米メディアのイラク戦争報道
(2004年・米 グローバルビジョン)
NHK BS1 BS世界のドキュメンタリー
★★★☆
政府の不正を常に告発してきた(と少なくとも思われている)アメリカのメディアが、いかにして政府に取り込まれ、イラク戦争で大本営発表だけを垂れ流すようになったかを紹介する。
(当事国ではない)日本では、アルジャジーラ(中東ではアメリカよりと思われているそうな)の映像が紹介されたり被害者側からの報道もあったりしたが、(独立系放送局を除く)ほとんどのアメリカの放送局は、政府の立場を追随するような報道ばかりをしていたという(このドキュメンタリーでも例示されていた)。しかもフットボール中継さながらに、戦略や兵器をエンタテイメント的に紹介するだけで、戦争につきものの惨状や被害者の様子はまったくと言っていいほど報道されなかった。
番組では、アメリカの放送局がなぜこのような、その存在意義を見失った態度に走ったか、いかにしてペンタゴンがかれらを抱き込んだか、軍がジャーナリストに対して何をしたか(あるホテルを戦車で攻撃したりしたらしい。『イラクの中心でバカと叫ぶ』 でも、この攻撃は現場の目で紹介されていた)などが、証拠映像を交えて示されていく。
報道に関わる側からの反省と自戒を込めたドキュメンタリーである。このようなドキュメンタリーが作られることが、ある意味でアメリカのメディアらしいとも言える。

投稿時刻: 11:04 午前    

月曜日 - 1 月 24, 2005

急増! ネット依存の恐怖 ★★★


急増! ネット依存の恐怖(2004年)
日本テレビ NNNドキュメント
★★★
インターネット依存症患者の増加を告発するドキュメンタリー。
チャット依存を問題提起した点で評価したいが、内容はずいぶんとでたらめである。
まず、番組内で「(インター)ネット依存」という言葉を使っていたが、紹介される患者(?)は全員ネットゲーム依存者であった。ネットゲームを日がな一日中やっていて(そのうちの一人は仕事も辞めたらしい)それをやめようとしない人々が登場する。確かに依存症に近い印象を受けたが、依存症というのは、本人がやめたいがやめられない状態を指すのだと認識しているがどうだろう。そういう意味ではかれらは必ずしも依存症とは言えないのではないか。
また、精神科医によって、数人の症例が紹介されたが、そちらもチャット依存だった。紹介されるネットゲームもチャットが中心のもので、正確を期すならば「ネット依存」ではなく「チャット依存」と表記すべきである。また「インターネットをやめられない」とか「インターネットをする」とかいう曖昧な表現も頻出する。
番組の最後に先述の精神科医が、誇大妄想になって精神に異常を来した(という)1人のチャット依存の患者を紹介していた。つまり「インターネットをやり」すぎることで精神に障害を来すこともあるということらしい(番組の結論もそうだった)。だが、1人の症例でこのような結論を出すことはあきらかに間違っている(もともと障害があった人がたまたまチャットにはまっていただけかも知れない)。
このように、用語の定義が曖昧で、(日テレらしく)結論もいいかげんなドキュメンタリーであったが、チャット依存を告発したという点では斬新である。

投稿時刻: 10:31 午前    

火曜日 - 1 月 18, 2005

変わる世界人口バランス 後編 ★★☆


変わる世界人口バランス
後編 中国・13億人の衝撃(2004年・米 WGBH)
NHK BS1 BS世界のドキュメンタリー
★★☆
人口問題の現状を報告するドキュメンタリーの後編。中国の現状。

投稿時刻: 09:59 午前    

月曜日 - 1 月 17, 2005

変わる世界人口バランス 前編 ★★☆


変わる世界人口バランス
前編 国別出生率に揺れる未来(2004年・米 WGBH)
NHK BS1 BS世界のドキュメンタリー
★★☆
人口問題の現状を報告するドキュメンタリー。人口爆発が進むインド、人口減少が進む日本、若年層がHIVで少なくなっていびつな人口バランスになっているモザンビークなどを紹介する。

投稿時刻: 09:57 午前    

水曜日 - 1 月 12, 2005

地球温暖化 第1回・人類のつめ跡 ★★★


地球温暖化
第1回 人類のつめ跡(2003年・カナダ ストーンヘイヴンプロダクション)
NHK BS1 BS世界のドキュメンタリー
★★★
地球温暖化の現状を報告するシリーズ、『地球温暖化』の第1回。入門編といったところか。

投稿時刻: 08:10 午後    

水曜日 - 1 月 12, 2005

地球温暖化 第2回・予測を超える気象災害 ★★★☆


地球温暖化
第2回 予測を超える気象災害(2003年・カナダ ストーンヘイヴンプロダクション)
NHK BS1 BS世界のドキュメンタリー
★★★☆
地球温暖化の現状を報告するシリーズ、『地球温暖化』の第2回。地球温暖化が原因と見られる(主に北米での)異常気象の事例を紹介する。
「温暖化による気候の変化は少しずつ確実に進行しています。平均気温を上げ、氷を溶かし、湿地帯を飲み込み、海岸を浸食し、海面を上昇させ、農地をじわじわと乾燥させています。地球は日々刻々と変化しているのです。」というナレーションがこのドキュメンタリーのすべてを物語っている。
目新しさはないが、事例を示すというドキュメンタリーの正攻法で、見る者に訴えかけてくる。

投稿時刻: 12:39 午後    

火曜日 - 1 月 04, 2005

スチール写真が記録した世界の60年 一瞬の戦後史 前編・後編 ★★☆


スチール写真が記録した世界の60年 一瞬の戦後史 前編・後編
NHK BS1
★★☆
以前NHKで放送された「映像の世紀」のスチール写真版。
スチール写真を中心に現代史を検証する。序盤に出てきた、キャパをはじめとするマグナムの写真あたりまではなかなか興味深かったが、だんだんだれてきた。
説明も少し多すぎるような……

投稿時刻: 03:54 午後    

日曜日 - 1 月 02, 2005

古の歌人が愛した色 〜日本の伝統色〜 ★★★☆


古の歌人が愛した色 〜日本の伝統色〜(2004年)
BS Japan
★★★☆
色をテーマに伝統技術を紹介する「日本の伝統色」シリーズの第三弾(だと思う)。昨年放送されたものの再放送。
茜色、女郎花色、露草色、萌黄色、橡(つるばみ)色の五色を取り上げる。いろいろと知るところが多い。
このシリーズは、見せ方もうまいし内容も濃厚で、DVDで発売してほしいくらいだ。

投稿時刻: 03:48 午後    

日曜日 - 1 月 02, 2005

HITSONG MAKERS 〜栄光のJ-POP伝説 第一夜 筒美京平〜 ★★★


HITSONG MAKERS 〜栄光のJ-POP伝説 第一夜 筒美京平〜(2005年)
BS-Fuji
★★★
テレビにほとんど顔を出さない筒美京平を中心に、日本の歌謡史を追ったドキュメンタリー。
筒美京平との確執を語る松本隆のインタビューが面白かった。松本隆……なかなか味わい深い。

投稿時刻: 03:41 午後    


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